「あえて小説版コードギアスをいじる(ネタバレ注意)」

 ちょっと古い話題になってしまうのですが、ずっと放っておいた小説版を先日漸く読みました。感想をいうと、色々わかったようで、うやむやにされたなぁというところです。これで、大まかな過去に関するものが決定してしまったとすれば、うやむやのままに投げ出されてしまったものが幾つか残ってしまったということです。それを、今回敢えて掘り起こしてやろうというのが、このテーマです。

 ・ スザクの空白の7年
 ・ ルルーシュら3人が歩いたあの焼け野原の光景は?
 ・ なぜスザクはルルーシュの行き先を知らないのか?
 ・ ルルーシュの決め台詞「ブリタニアをぶっ潰す」というシーンが何故出てこなかったのか?
 ・ ブリタニア皇帝の謎

 扱うテーマは以上です。興味を持った方は読んでください。しかし、あくまで想像なのでその点はご容赦を。

 ・ スザクの空白の7年
 小説版を読むとまず勘違いをしていたことがわかります。それはスザクの父が死んだのはブリタニアとの戦争前であるということです。このことは、小説版を読まずとももっと深く考えていれば、何とか推察できたことではなかったかと振り返るとそう思います。
 ブリタニアの勢力の前にあっという間に日本は敗戦し、またその余力を残した形で決着がついたという部分と、スザクが父を殺す際のなぜ戦争をやめないのかと問いかける部分に齟齬がみつかるからです。つまり、スザクが父に問いかけるのはあっという間に決着がついた戦時中であるのは難しく、むしろそれ以前の膠着状態の際に負け戦をせずに無条件降伏しないのかという問いかけの方がしっくり来るからです。
 と言っても私の力不足を実感しただけのことです。

 話題を戻して、そのこと自体は別に何もあるわけではないのですが、スザクは小説版の中でルルーシュにこう言います。「自分のために、自分の力を使わない」と。この台詞が示すものは、7年後のスザクが軍隊に入り、他者のために力を尽くしたいと願っている姿であり、中から何かを変えようとしている姿であり、死にたがっている、自己の命を顧みない姿であったりします。
 しかし、上記のように推察すると、あまりに少年時代と直結しすぎていて、7年という月日が彼にもたらしたものは何かを考えた際、まったく何もないということになるのです。これをどうみるのか。
 他のテーマにも関わることなのですが、スザクがどういう7年を過ごしたのかがぽっかりと抜けていて、少年時代のスザクを描いた最後の表現さえ曖昧です。
 察するに、ルルーシュが「ブリタニアをぶっ潰す」と言ったあのシーンが恐らく最後のシーンでしょう。今回の小説版で、アッシュフォードとの関係が戦前からすでに決定されていたものであることがわかりました。戦争が始まり、そして戦火に巻き込まれ、あのシーンでルルーシュブリタニアを崩壊させることをスザクの前で誓い、離れ離れになったということになりそうです。その後、ルルーシュは予定通り、死んだことになり、アッシュフォード家へと匿われることになります。その辺のやり取りがすでに桐原や藤堂らと通じていたものと思われる。
 余計なことを長々と書きましたが、漸くスザクの空白の7年です。軍に入って、その身体能力の高さや適合性などから、ランスロットパイロットとして採用されるに至る過程はさほど想像するのは難しくないでしょう。問題はそれ以前のことです。ルルーシュと離れてしまった戦後、スザクが頼れる人間というのは恐らく藤堂や桐原らの真実を知る勢力以外では、テロを行う各勢力しかいないでしょう。つまり、順当に考えれば、あのまま父の周囲の人間と行動を共にしていたならば、間違いなく利用されていただろうし、運良くどこかに逃れた、かくまってもらえたとしてもその存在を知られれば、何かしらの関与を迫って来られたはずです。スザクにとっては、「日本人が」という感覚はすでに薄れており、平和という願いが前に出てきている時期のはずですから、もしかすると方々を渡り歩いているような過去があったのかもしれません。場合によっては、先にあげたような理由で軍に入ったのではなくて、ロイドやセシルと直接対面し、勧誘を受けたという過去があるのかもしれません。
 あまり深いところまでは詰めていけませんでしたが、スザクの空白の7年というのは、停滞の7年であり、また周囲を遠ざけるような、あるいは逃げるような、自分の居場所を探した7年だったのかもしれません。
 しかし、ルルーシュとあってから、アニメ本編が始まってからのスザクといえば、迷走に迷走を繰り返していたことで有名です。「間違ったやり方で解決しても何もならない」というのが口癖でした。結局、7年という月日がスザクにもたらしたものは何もなく、迷い続け、未だに答えが見えていない状態だったのでしょう。ユフィと遭うまでは。
 余談ですが、ルルーシュの7年はどうでしょうか。結論だけをいうと、こちらも特に何もないのです。身を隠していたとは言っても、自らの身を守るだけの力も身につけていない。小説版のような襲撃があったのに・・・・その辺はどういうことなんでしょうね。ただ、ルルーシュには頭はいいけど、運動はからっきしだという設定を付けたかっただけなのかと邪推してみる。

 ・ ルルーシュらが歩いた焼け野原の光景は?
 アニメ版であったシーンです。ルルーシュがスザクに歩けと叱咤し、ナナリーのこげた臭いがするという問いかけに、とぼけるシーンです。(ちょっと記憶が曖昧です。間違っていたらごめんなさい)
 小説版の後のシーンだと推察されるが、スザクが過剰にショックを受けているのはどういうことなのか。これは私の勘違いかなと。あのシーンでスザクが感じていた事は、戦争に対する嫌悪というよりも、焼け野原に見える光景の悲惨さに単純に体が拒否反応を起こしている。むごたらしい死体を見ると大抵の人間はもどすという、あの症状ですね。
 時系列的には、「ブリタニアをぶっ潰す」の前の出来事でしょう。あの光景を見るにつけ、ルルーシュはリタニアを崩壊させるとさらに復讐心を高めていったのだと思われる。

 ・ なぜスザクはルルーシュの行き先を知らないのか?

 これは謎ですね。ルルーシュは別れを決断していましたから、事前にスザクには行き先を教えていても不思議ではないのですが・・・・・・仮に戦火に巻き込まれた際に離れ離れにならなかったとしたら、スザクとルルーシュは共に、アッシュフォードの家に匿われていくことになっていたということでしょうか。可能性がないわけではありませんが・・・・・・どうも腑に落ちない部分であります。しかし、そうであったならまた別の物語になっていたでしょう。

 ・ ルルーシュの決め台詞「ブリタニアをぶっ潰す」というシーンが何故出てこなかったのか?

 いや、結構気にいっていたというか、印象的なシーンだったと思うんですが。というよりも、アニメであったシーンはことごとく出てきませんでした。もう少しリンクさせてくれていれば、盛り上がったかなぁと思う。それを当然わかっていたはずなんですが、敢えて出してこなかったのかなと。妙なこだわりですが、読み手からすると、そんなこと知りませんよww是非とも書いて欲しかったの一言です。

 ・ ブリタニア皇帝の謎

 小説版では、ブリタニアの狼と桐原が評していますが、私の受けた印象では姑息だなと。あれだけでかいことを言いながら、やることがせせこましいと言うか、小さいww後継者争いまでも利用するのか、とか。正直、弱肉強食を謳うなら、ガンガン責めていけばいいと思うのは私だけでしょうか。できるだけ戦争被害を少なくしようとか考えているのか?「戦場において、敗者とは死者である」とか言って、物量で押し込んで行きそうなのにww
 そもそも、気に入らないのがルルーシュとナナリーの母であるマリアンヌがなぜブリタニア皇帝なんぞとピーなことになっているのかですよ。平民出でありながら、騎士となり、優しく強かった母親が、何故あんな男と・・・・・・ぐぁぁぁ。この矛盾を誰か何とかしてくれ。あれか、マリアンヌは正に聖母マリアのような存在で慈悲でブリタニア皇帝を何とかしようとか思っていたわけか。いや、違うな。C.C.がマリアンヌのことを知っていたことを考えると、マリアンヌは何か特殊な力を秘めていたことになるわけで・・・つまり無理矢理・・・・・・・ぐぁぁ。やめてくれww謎だ。これこそ、コードギアス最大の謎ですよ。

というわけで、あれこれといじり倒しましたww満足しました。楽しかったです。