西尾維新「新本格魔法少女りすか」2.5/5

新本格魔法少女りすか3 (講談社ノベルス)

新本格魔法少女りすか3 (講談社ノベルス)

魔法少女ものといえば、何だろう・・・う〜ん。ありすぎて逆に何かを言えない。大別すれば、現代と同じ設定なのか、それとも別の次元へ飛ぶのか、はたまた今とは少しだけ違う現代という設定なのか、おおよそこのどれかに当たるだろう。これは魔法だけではなくて、多くの漫画やライトノベルを分ける基準にもなるだろう。
ネギま!なんかは明らかに3番目だし、ゼロの使い魔に代表されるファンタジーものは2番目。リリカルなのは(見たことないけど)何となく1番目のような気がする。ライトノベルで多いのは、1番目か2番目じゃないだろうか。なぜなら、どちらにしてもそのギャップがメインであったりするからだ。現代の同じ設定で魔法を使うから、非日常をより感じられておもしろい。あまり大きく現代とかけ離れた現代が存在して、現実よりもちょっとだけテクノロジーが進んでいたりすれば、もしかしたら魔法があるかもしれないなんて思うかもしれないし、その違和感が魔法の衝撃を緩和してしまうかもしれない。要するに、面白いと言う衝撃が薄れるのだ。
しかし、それは一昔前の基準だろう。今は魔法ものがあまりに出尽くされているのだ。それゆえに、何をやっても二番煎じ、どこかで見たことがある。そう見えてしまうかもしれない。だったら、敢えて3番をやることにより、わざわざ今の世の中とはちょっと違う技術や歴史を辿った現代を舞台に、さらに混乱させるかのように魔法を持ってくる。つまり、2重のネットを張ることで、読者を逃さないようにしようということだ。それらが今のスタンダードなのではないだろうか。
もっとも、上記一番目と二番目がどんどんと衰退しているわけではなくて、わかりやすい物語作りに萌えの要素を組み込ませて、同じように大きな流れを生んでいる。

 この「魔法少女りすか」はまさしく3番目だ。と、言ってみたものの、正直戯言シリーズと対して変わらない。戯言シリーズの殺し名はある意味で魔法を使っているようなものだから、魔法少女りすかは、改めて魔法と銘を打って、本当に魔法らしくした程度といえるかもしれない。勘違いしないで欲しいのは、上記に挙げた作品と同じだと思っていれば痛い目を見るということだ。まぁ、西尾維新が書いたと言えば、勘違いする人もいないだろうが。


 あらすじ。長崎県は魔法使いの住む国だった。主人公はそこからやってきた魔法少女りすかと出会う。りすかは父親を探していて、主人公はある目的のために、お互いに協力し合うことに決めた。魔法使いはいい魔法使いばかりじゃない。彼らは父親の後を追うために、悪い魔法使いを懲らしめ情報を得ていくことにした。
 そんな感じ。子供向けみたいなイメージがするが、まったくそんな事はないから気をつけろ。
 今のところ途中でほっぽり出されているので、話は止まっている。今後完結するかどうかは、作者次第か。
 あまり誤魔化すのもよくないと言うか、自分らしくないので、言っておくと、今読む必要はないかな。読むならば、完結してからの方がいいかと。