スザクの心情について(後編)

さて、昨日の続きです。

3.スザクの変化(中盤、終盤)
 そんなスザクが変化します。最初のきっかけはスザクがユフィの騎士(少佐)になったことでしょう。それにより、これまで絶望的でどうにかしようと思っていたのかさえ疑問であった「中から変える」という言葉が現実味を帯びてきます。これまで闇雲に中から変えなければ駄目だと自分に言い聞かせ、または他人に押し付け、自分を守ってきたスザクでした。中から変えるためには、将校クラスでないとどうにもできないでしょうから、絶望的でした。いや、もっと上じゃないと無理とは思うが・・・・・・はっきり言えば、皇帝制である以上、その血族と彼らに認められた者でないと何かを動かす事は不可能だろう。ゆえに、スザクの位置は本来とてつもなく高い位置だと思う。
 しかし、スザクはそれを一度は受け入れたものの、蹴ってしまいます。その理由ですが、作品中ではユフィに迷惑がかかるといっています。そこに至るのは、スザクがギアスにかかり命令違反をしてしまったことがあります。それをスザクはひどく衝撃的に捉えているはずです。というのも、自分にとって命令は絶対で、それが自分の死という程度のものであれば逆らおうとは思っていなかったからです。なのに・・・・そんな自分の行動が信じられず、恥じたのでしょう
 その他に想像できるのは、いきなり振って湧いた好ましいはずの状況に尻込みしてしまった、あるいは本当は中から変えようと望んでなんていなくて、現実になって欲しくなかったのになってしまったことに恐れた。はたまた、ユフィの力で上に上ってしまった事はルール違反だと考えている。さらに言えば、ユフィがまた突然に決めてしまっただけ、気まぐれだろうと思っていた。どれも近いように思えますが、これら全てを合わせた感じを心の底に抱えていて、犯してしまった違反に対する罪の意識をさらに後押しをしたように思えます。
 そうして、返上してしまいます。しかし、ユフィはニーナの助言もあり、スザクにある宣言をします。それがきっかけとなり、また死ぬと思って諦めていた自分が助かったことで、スザクは迷いを吹っ切ります。
 ユフィの宣言は「自分を嫌いに成らないで欲しい。それができないのならば、私がスザクを好きになり、認めてあげるから、代わりにあなたは私を好きになって認めてください」というもの。
 ユフィも兄や姉からかわいがられていても、いざとなると邪魔者扱いされていることで、自分の不甲斐なさに嫌気が指していました。自分には何もできないと思い込んで、自分を嫌います。しかし、ニーナは自分がいたおかげで救われたと告げます。誰かに必要とされることは、自分を信じることができて、力が湧いてくるのだと学びます。
 このときのスザクの心情として。
これまで見えてこなかった誰か。つまり、父親を殺したことで、救われた誰かはどこにいたのか。それが見えてこなかった。というより、罪が先行して見ようとすらしていなかった。ユフィはそんなスザクに真っ直ぐとあなたを必要だと言う。どんなスザクであっても、罪を背負っていても、全て受け止めると言う。それがスザクの心を僅かに軽くする。何も解決はしていない。けれど、必要としてくれる誰かがいる。それだけでスザクは確かに救われたのでしょう。
 もしかすると、スザクは正義だとかそういうことは自分ではもうどうにもできず、またどうしたらいいのかわからず、投げ出したのかもしれない。だからこそ、ユフィの望む世界を一緒にみたいと思った。ユフィがとんでもない奴だったら、ここまで思うこともなかったでしょうが、ユフィのことをスザクはよくわかっていたのかはわかりませんが、信頼できると感じていて、身を任せたのでしょう。

 でも、全てほっぽり出してしまうのはどうかなぁとも思います。あれだけ悩んだんですから、いくら暗闇から引き上げてくれた存在がいたとしても・・・・・ん〜、でもそのすぐ後に行政特区の話があったので、そちらに全力を注いでいてそこまで考える余裕はなかったか。
 
 4.スザクが憎しみに染まる(終盤)
 スザクはユフィと共に歩くことを決める。ユフィが望んだ世界、行政特区日本。そこにすべてをかける。これまでのことは全て忘れて、新たに歩き出したといってもいいだろう。
 しかし、それは夢に終わってしまう。ユフィがルルーシュのギアスにかかり、日本人の虐殺という暴挙に出てしまうことになるからである。このときの心境は、説明しない方がいいでしょう。
 ゼロに撃たれて、切れてしまうスザク。見ていて本当に痛々しかった。すぐに治療を開始するも助からない。ユフィがみた夢の世界。現実的に考えれば、ちょっといびつで問題は残るのですが、この二人にとっては全てをかけた世界だったはずです。ユフィの問いかけに、スザクは夢が実現したのだと告げます。そして・・・・・・・・

 ユフィを受け入れてからのスザクはお分かりの通り、視野が圧倒的に狭まっています。ユフィの死によってさらに視野が狭くなります。憎しみに囚われるのです。
 その問題と基準は二つあります。一つはスザクはゼロがルルーシュであると知ったのかどうかです。二つ目はギアスについて知ったのかどうかです。
 一つ目に関して。これもまた深く追求してこなかったというか失念していたことですが、ルルーシュは同じ携帯でルルーシュとゼロを演じています。それってかなり危険なことです。ディートハルトがちょっと調べればゼロの携帯の契約者はわかってしまいます。ん〜、となるとディートハルトには完全にばれていると見た方がいいでしょうね。スザクの方は・・・・どうでしょうか。V.V.(ブイツー)と名乗る人物からその素性を聞いたかもしれません。また、ルルーシュの決意やこれまでの行動から察したかもしれません。
 それと関連してもう一つ別なこと。ゼロとはばれていなくとも、ルルーシュが生きているということがユフィの携帯履歴やアドレスからブリタニアの方に漏れている可能性は十分にあります。ユフィとルルーシュが繫がっている事はスザクにとってはそれほど意外でもないでしょう。学園祭のこともありますし。
 二つ目の問題は、ギアスについて知ったのかどうかです。これは恐らく、知ったと考えられます。V.V.(ブイツー)の話とは何だったのかを考えると、恐らくユフィがギアスによって操られたと告げたのだと容易に推察できます。だからこそ、スザクはゼロを憎しみの対象に挙げたのです。ユフィは平等な世界を目指し、行政特区日本を作ろうとしていたのに、ゼロはユフィに虐殺させるという方法で壊してしまった。あまつさえ、殺してしまう。憎んでも仕方がないのかもしれません。
 しかし、トウキョウへ攻めて来るものは全てゼロの味方だとして、殺してしまう恐れがでてきました。それはあまりに盲目的というか。よく考えてみてください。確かにゼロはユフィを殺しました。ですが、その前に操られていたにせよユフィは日本人を数え切れないほど殺してしまったわけで、それに怒りを感じた日本人の感情は本物です。彼らもまた騙されているのですから。それを一緒くたに断じてしまうのはどうかなと。考えるのは後でもできる今は勝利を収めることが先決だという理屈を使うのか?
 それって、基本的に正義を行おうとする人間が戸惑った時に使う理屈なんですよね。ネギま!の超編でネギを説得する際に、とにかく今は勝つしかないと説得したように。結局、ネギはそれとはまったく異なる答えを出しましたが。
 ですので、スザクはやはり単純に復讐に身を置いたと考えられ、今後振り返ったとしてもどんな言い訳もできないでしょう。卑怯なやり方は認められないとも少しは思っているかもしれません。

 しかし、一体どれだけの血が流れるのか・・・・何ていうか、最初から最後まで徹底して自分の気づかないどこかで流れているはずの血を省みる奴が一人もいないっていうのはどうなんだろう。もっと国民を大事にしてください。民あってこその国ですよ。王あっての国じゃありません。これは安穏と日々を暮らしている日本国民に対する挑戦状なのか?馬鹿な国民はただ巻き込まれて、血を流していればいい、大切なのは世界を動かしている奴等がどう判断するかだけだ、と言わんばかりのアニメだ。まぁ、おもしろいんですけどね。

 5.スザクの今後

 ゼロに復讐するために修羅と化す恐れがあります。しかし、問題はスザクが所属しているのはブリタニア帝国です。それを完全に忘れているぜ。本当の意味でゼロに復讐したいのなら、一から人を集めるべきでしょうね。それでこそユフィという一人の女を愛した一人の男、クルルギスザクだぜブリタニアの傘の下にいる以上、スザクが復讐を成し遂げてもどうにもなりません。そもそも復讐に意味なんてないし、手段すら間違えているので・・・と言っても自己満足なので、自分が気づかずにいればそれでいいのか。他人の助力を得て目的を達成して、それをさも自分の実力だけで成し遂げたかのように喜ぶ人間を見るのはむなしいなぁ。そうしようとしている人間も。なんていうか粋じゃない?筋が通ってない?やはり修羅と化した復讐鬼は一匹狼に限る
 とにかくこのままだと無駄に被害を広げるだけなのでやめて欲しい。でも、無理だろうなぁ。完全に視野が狭くなっているので。
 スザクがもしかするとギアスを手に入れるかもしれない。V.V.(ブイツー)という存在が何故でてきたのかを考えると、ギアスを与えるためだと考えられるからです。となると、ブリタニア最強伝説の始まりか?早くブリタニアから外れて一匹狼になってほしいものだ。
ルルーシュも最初は似たようなもので、ギアスの力で人を集めて成り上がったわけですから、同じギアス能力者、復讐鬼として見るならば、一から出直して来るべきだよと視聴者が感じるのはそうそう的外れでもないか。
それにしても、スザクが何度もルルーシュの後ろを歩くことになるのはなぜだ?せっかく二人の主人公がいるのに、同じでどうするんだろう。よくわからないな。父親を殺したことは自分でも否定したがっているから別として。ルルーシュは負けたと感じているかもしれないが。今後もスザクはルルーシュの後を追うのか?となると、スザクもギアス能力暴走で破壊者?


 まとめ

 スザクの心境の変化は大きく分けて三つです。悩み→吹っ切り→憎しみ。これだけです。しかし、実際はもっと複雑に悩んでいるのは当たり前で、複雑な所為かどんどんと視野が狭まっていくという安易な方へと流れています。
 悩んでいる状態であれこれと無茶をやられても困ります。ランスロットパイロットとして、それなりの力を発揮できる位置にいるのですから、無闇に力を振りかざしては傍迷惑です。
かと言って、グチグチと言っているだけでは歯がゆい。しかも、前が見えなくて悩んでいるというより、どこに立っているのかわからなくて悩んでいるだけで、前に行こうとは考えていなかった辺りも問題でしょう
すでに軍に所属してしまっているという所もポイントで、やりたくなくてもやらなければなりません。といっても、これはルルーシュと同じで自分から入ったわけですから、どうにもしようがありません。嫌ならやめろ、となります。
 もう少しまともなら、悩みを抱えたままでも進んでいけと私も千雨のように応援できたんですけどね。う〜ん。しかし、どうにも視野が狭まっていくのは、ユフィの所為でスザクは良くない方へ向かったように見えます。そもそもユフィの行政特区日本は二人が思っているようなものには到底なりえませんから、もうちょっと冷静でいてほしかったわけで、悩んで欲しかったわけで・・・・・ユフィが死んでしまった後の事は仕方がありませんが、ユフィの騎士として、もう少ししっかりと仕えて欲しかったなぁ。副総督の騎士なのに死ねとか命令されてるし・・・・いくらシュナイゼルの命令だとしても、普通に有り得ない。邪魔物扱いされてるだけなのが丸わかりで、それでも頑張って欲しかった。騎士になっても前と同じことをやって、やらされているなんて・・・・・ってことですよ。
 ん〜、何とかスザクをよき方向へ向かう術があったのか探してやりたいんですが・・・・・序盤からゼロと一緒になってぶつかり合いながらも、正しいことをしていくと言う展開はどうだろうwwブリタニアにテロ攻撃なんてしないで、もっともっと市民のための活動をして、大きな組織にしていく。そして、社長がゼロで、秘書権SPがスザクとなって、多国籍の大会社を作るwwいやもうそれはいいか。案外いけそうなんですが。ギアスとか使えば、あっさりと商談がまとまりますよww駄目ですかねぇ。