Fate/zero 8/10


 ・感想

 まずはこの作品についての感想を。
 4巻を読み始めた頃から、これはちょっといけないんじゃないんですかwwと私は感じていた。というのは、エンターテイメントの要素が強すぎる、つまり面白すぎるからだ。サーヴァントの面々を比較すれば、一目瞭然だし、原作がある一人の主人公の物語としての完結を目指したであるのに対して、本作は第4次聖杯戦争という一つの物語の完結を目指した作品であるという点もあげられる。
 何が言いたいのかと言うと、あとがきでもそういったことに触れられていましたが、うまく出来すぎたがゆえにFateという世界観を削り取る結果になってしまったということ。
 とはいっても、二次創作である以上、完成されたものに手を加える以上、膨らむか縮むかのどちらかしかありえないわけで、私なりの二次創作についての基準は、楽しめるか楽しめないかのどちらなのかという話になる。
 結局、商業的な意味合いを考えてみても、本人がそれを楽しめればそれでいいわけで、ひぐらしなんかのように、めちゃくちゃにする必要はないでしょうが、それでも楽しめたらいいわけです。
 まぁ、メーカーに飼い殺しにされるオタクもいるわけですが、私とはまったく無縁だなぁとww散財する人は、別にこの分野にだけいるわけではありませんからね。どちらかと言うと、いわゆるブランドにはまる女の方が危険でしょう。
 内容については・・・・そうですね、奈須きのこ氏に比べて、読みやすかったとwwあの言い回しは独特ですからねぇ。それが好きだったりするんですが。基本的に楽しく読めたのですが、少しばかり地獄すぎたかなぁとwwまっすぐに対する裏という意味での登場人物が多すぎたと。すべてが直球で、遅いか速いかのギャップで三振を取りにかかっているというような感じがしたんですね。セイバーを否定するサーヴァント、キリツグの見た理想に協力した人間、騎士、快楽殺人者など。両極端な登場人物が肯定、否定をして、つむいだ作品だなと。
 変則的な人物がいなかったんですよ。原作のFateで言えば、それは士郎、凛のある側面(殺し合いなのに、殺すことにためらっている)に当たる人物あるいは、別角度から物事を見る人間、例えば、客観的には不幸であるが主観的に幸運であると信じている人間(無知ゆえではなく、気質が良い)とか。こう、横からえぐるような人間がww
 でも、間違いなく面白かったです。作者の力量が生み出した一つの完成された作品だと思いました。

 ・世界を救う方法

 「たった一つの願い事で、世界を平和に導けるか。」この問いに真剣に答えを出した人はどれだけいるんでしょうね。
 私は、自分なりに一つの答えを持っています。しかし、それでも多数派を救うというものでしかないのかなと思っています。こんなことを考えろという小説ではないんですが、どうですか、考えてみてはww

 「たった一つの願い事で、世界を平和に導けるか。」
 
 私の答えは、世界を分断する、です。そもそもの争いの原因として考えられるのは、人が多すぎるということがあり、そして世界が広すぎるということがある。人が多ければ争いを生むし、多くのもの消費します。そして、世界が広ければ、人は移動しようとし、新たな物を求めようとする。人は大きすぎる社会を制御しきれないのです。
 だから、制御しきれる大きさの細切れの世界に人を分断して配置し、互いの行き来を一切認めないようにするのです。
 例えば、紛争の起こっているAとBという組織を分断して、今後一切関われないようにしてしまう。これだけで、争いはなくなります。資本主義による社会の拡大は限られた世界でしか広がらなくなるわけです。もっとも、配分された土地による良し悪しはあるでしょうが。
 まぁ、これも一つの答えじゃないかなと思うのですが。ええ、もちろん、現実的な話ではないですよ。ただ、社会主義が続かないのは資本主義が自然と生まれてしまうからで、それは世界の広さにつながる自由さに一因があると思うし、宗教的対立や民族紛争は、土地をめぐる争いに端を発していることが多いですからね。だからなんだとww

 以上、つい長々と書いてしまいましたが、最後まで読んでくださった方、ありがとうございます。