三崎亜記「となり町戦争」2/5

となり町戦争 (集英社文庫)

となり町戦争 (集英社文庫)

 非常に危うい道を通ったなという印象がまずあります。これはたぶん、読んだ人は誰もが思うでしょう。でも、その危うい道というのは、「斬新でおもしろい」か「おもしろくない」かという道ではなくて、実は「斬新でおもしろくない」か「ただおもしろくない」かという道だったということなんじゃないかなと私は思う。
 言いたいことはわかる。わかりすぎるくらいにわかる。だからこそ、おもしろくない。わかりすぎるとおもしろくないんですよ。要するに、言いたいことがまず合って、それだけをどうにかして変わったやり方で伝えようという意思が見え見えなんです。ひねくれた私なんかには、それがいやらしく映ってしまう。
 これは何か賞を取ったらしいです。でも、読んでないですけど、この著者の他の小説も似たようなことになっているんじゃないかなと推測できる。それでその人がどう感じるかは、まぁ・・・想像してくださいww
 内容は、戦争を地域振興のイベントとして考え、戦争はその是非が問われるものではなくなった現代で、その戦争に参加することになったひとりの青年が何を感じられないのか、何を感じなければならないかと考えるというもの・・・・のはずが、なぜか恋愛オチに走っているww
 ちょっとだけ、ネタバレというか、言いたいことに対してコメントすると、「甘いなぁ」と。「そんなこと、わかりきってるじゃないですか」と。現代が出した結論は、個人主義ってことですよ。読んでみたら、私の言いたいことが分かると思います。