アニメ制作の苦しさーまとめ ver1.1 11/22

 
 最近、色々なところで、動きがあるようなので、まとめというか、私なりの解説と意見を簡潔に一度まとめておこうかと思います。色々いわれてるけど、どれが正しいのかわからないと言う人向けの広く浅い話となっているかもしれませんが、その点は容赦していただければ。現在も修正を加え続けています。よろしければ知恵をお貸しください。今の状態をとりあえず、ver1.0として残しておきます。修正の加え方と表示は、一般的な扱い方で。(小規模な修正派1.1、大規模な修正は2.0となる)追記は赤字です。

 ・ テレビ局の仕組みが機能しなくなってきて、制作が苦しい
 その一番の理由は、スポンサーが付かなくなってきて、制作にお金が回らないからです。勘違いしないでほしいのは、アニメ制作のお金がどこから出ているのかといえば、やはりそれはスポンサーであるので、テレビで流すことが前提で、お金が動いているということ。この仕組みが以前は割と機能していたが、今は逆に制作サイドを苦しめる仕組みとなってしまっているということが問題なのです。その理由は先に述べたように、スポンサーがお金を出さないからです。(視聴率の低下、広告効果の問題など)
 現在のアニメはDVD関連や原作関連の広告主が多いようです。つまり、どういうことかというと、DVDが売れないとアニメを慈善事業のように無料で視聴させることとなり、一切利益が出ないということです。DVDを売るために本編を全部見せているのです。おかしいですね。本末転倒というしかないです。最近原作アリのアニメが多くなってきたと思いませんか?それは、原作関連の商品を売ろうとしてアニメ化を宣伝と考えているからではないでしょうか。確かにアニメ化をきっかけに原作を買うことは多いです。その目論見はあたっています。ですが、この方法でどこが割りを食っているのかというと、恐らくアニメ製作サイドです。少ない資金での仕事が増えたかもしれませんし、原作付ですから著作権等がすべて原作の方に回ってしまいます。つまり、原作の漫画が売れてもアニメ製作側にはお金が入らないのに対し、アニメのDVDが売れると原作の著作権を持っている側にはお金が入るということになるのかと。まぁ、原作つきは固定客を持っている可能性がありますから、DVDの販売数も伸びるかとは思いますが・・・・・ん〜、とりあえず、本編をすべて見せてから、DVDを売るというあまりにも馬鹿なことをやっていては・・・・・


 ・ 広告代理店
 広告代理店がお金を抜いているとはよく言われることです。実際にそうなのでしょう。しかし、今の仕組みの中では、外せない存在となってしまっていることもまた事実なのです。社会は、完全に利益だけで動いているわけではありません。人と人の付き合い、会社と会社の付き合いというのものが存在し、広告代理店という仲介がいるからこそ、広告を取ってくることが可能となっているはずなのです。極端な話、広告を打つのは、新製品の発売前後や、キャンペーン中のみであっても十分だと視聴者側は考えていると思いますが、実際は常に広告が打たれている。これは、少なからず付き合いという側面があるのです。ただ、問題は肥大化し過ぎていることと、社会が新たな仕組みへと移ろうとしているということ。前者は言わずもがな。後者は、テレビに関しては、それでもスポンサーからお金が取れないという状態にあるということ。いずれにせよ、様々なメディアに広がっている潤滑油のような存在(ガンは取り除くことはできない)ということなのです。

 ・ 動画配信サイト等の存在

 要するに、パソコンで何らかの手段でアニメを見るということがどう関係するのかという話です。ここでの問題は、2つあります。1つは、広告の問題。もう一つは、著作権、売り上げの問題。この二つを明確に分けることが大事です。
 広告の問題。正確には、テレビ放送上の問題ですね。テレビでは無料で放送されています。それはもちろん、スポンサーが広告を打ってお金を出しているから、私たちは無料で番組を見ることができます。しかし、この広告が省かれてネット上でばら撒かれるとどうなるのか。困るのはテレビ局です。お分かりの通り、番組だけがネット上で広がり、広告が意味をなさないからです。しかし、広告が意味をなさないということがどういうことかというと、先に述べたようにスポンサーがお金を出さず、制作サイドが苦しくなるということになるのです。アニメに関しては、テレビ局は制作に関わっていませんので、事実上、広告が付かないことのダメージは制作サイドへと流れてきます。
 著作権の問題。制作サイドにはもう一つ、収入を得る方法があります。(別産業への版権などもある)それは、DVDを売ることです。原作なしのアニメであれば、関連グッズの著作権を持つことにもなるでしょう。(ただし、お金を出したところがその権利を得るという実情もあるそうです。制作サイドでも管理の役割をしているプロダクションや・・・もっと上の組織かも・・・・)著作権に関しては、言わずもがな、無断で公衆が視聴できるようにすることは違法です。最近はそういった文言がテロップ等で流されています。とは言え、権利者が親告しない限り、違法であっても罪にはならないというのが現状です。テレビで無料で放送されているのは、スポンサーが制作されたものに対して、お金を払って放映しているからなのです。(先に予算は組んでありますが)ネット上で見たければ、どこかのサイトの月額会員になるか、GyaOで広告と一緒を見るしかないのです。
 売り上げの問題。実際に売り上げが圧迫されているのかという問題です。テレビで放送された作品に関しては、売り上げが危機的に圧迫されるということはまずないと思われます(ただし、間接的に損害を被っている可能性はあり、また別産業への影響もある。詳細は後述)。なぜなら、無料だったものを数千円も出して買ってみようとは思わないからです。今は記録メディアが発達していますし、今後も発達します。なおかつ、レンタルということもできます。駄目押しで言うならば、ピンきりがあるアニメを視聴もなしに買うことなど99%ありえないのです。逆に、宣伝効果があるのではないかという意見もあります。その理由は、先に述べたように、一度見てみないとそれだけの高額のものをたやすく買うことはありませんし、基本的に保存用なのです。例えば、ジブリのアニメが何度テレビ放送されようとも売れるというのは、ジブリのアニメを手元に持っておきたいという保存の精神、オタク的なあるいは人間の収集癖が働いているからだと考えられるのです。(層がかなり違いますが)ネット上で、バンバンと流されていいとは言いませんが、ジブリのように定期的に流される、CSで再放送されるあるいは、テレビ放送中、後に期限を決めてネット上で見ることが可能という状態は逆に売り上げ、視聴率、売り上げを伸ばす可能性があるのです。所謂、眠っている購買欲を起こすということです。もちろん、それらは著作権者が決めることです。
 ただし、ネット上で見れないはずのものが見れてしまうわけですから、本来それだけの時間をどこかに使っていた人たちがそちらへ流れたということが事実としてあります。例えば、本来ならば、別のテレビを見ていたはずなのに、動画を見ることになった。何かコミックを買ってみていたはずが、動画を見ることになった。こう考えると、確かにどこかが割を食っているはずなのです。ネットをただ徘徊していただけなのかもしれませんが、どこか影響の出ている産業はあるでしょう。私見を述べると、一度見ればそれで済むという点で同じであるレンタル業界が、一番損害を被ったのかもしれません。それは回りまわって、結局、DVDが売れないというアニメ業界につながっている可能性があり、先に述べた圧迫していないという結論は、また違ったものになるかもしれません。

 ・ 制作サイドの負のサイクル

 制作会社がお金がないのは、二つの理由があります。1つは、テレビで無料で放送してしまっていること。もう一つは、DVDが高すぎて売れないことです。
 テレビで無料で放送するという仕組み、商業モデルは、深夜アニメには向いていないのです。そもそも、DVD販売よりも先に無料で放送してしまうことが間違えているのです。無料で放送した後に、DVDが販売されても、すでに記録媒体に残している人が私も含め、多いのが現状であると考えられる。そして、視聴層が特定されすぎるのもテレビ放送には向かない。ゴールデンの放送とは根本的に違うのです。スポンサーがお金を落とさない→お金がなければ、いいアニメを作れない、スタッフが揃わない→視聴率が取れない→スポンサーがお金を落とさない→と負のサイクルができあがります。
 DVDに関しては、説明するまでもないと思いますが、一応。DVDが高い→売れない→お金がない→さらに高くする→売れない→となります。
 
 ・ 負のサイクルは敗れるのか
 デジタル放送が始まります。視聴者側のアクセスについて、期待されていますが、それを言うならばネット上の方がずっと様々なアクセス方法を用意できます。その1つが、ギャオ、USENのモデルです。広告をつけて放送し、サイトへのアクセスもたやすくしている。大きなコネクションも持っている大きな会社です。しかし、経営は厳しい状態です。
 もう一つが、月額課金、視聴課金のシステム。CSとネット、二つが存在しています。こちらは大きな問題を抱えていて、これまで無料だったものにどれだけお金を落とせるのかという点です。加えて、動画配信サイトで無料で流されてしまっている状態では、こちらに人が流れてしまうという問題もあります。ただ、レンタル感覚で見ることができるという点で、わざわざ借りて返しに行かなくていいという利点があるため、こちらにも十分人は流れているはずです。また、月額課金だけでは、運営、経営は不可能だと言われています。例えば、会員が仮に1万人いたとして、月額1000円とする。集まるお金はたったの1000万円です。アニメを一本作ればなくなります。100万人の会員がいたとすれば、100本のアニメを一月に作ることができます。月に100本、一日3本です。100万人もの会員がいて、現在の放送レベルに到達できるかできないかの状態です。広告費がどれだけ大きな役割を占めているのかがわかりますね。
 DVDの売り上げは安くなったとしても、やはり伸びません。なぜなら次々に新しいアニメが放送されるからです。基本的に私も含め、見直している時間はない。新しいアニメを見れば、それだけで時間がなくなるのです。結局、ゴールデンの番組と同じで、毎週放送されていれば、よほどおもしろくない限り、保存用として、買おうとは思わないということです。値段は二の次になってしまうのです。例えば、もう一度みたい番組、アニメが入ったDVDが、5000円で売られていようと、3000円で売られていようと、はっきりいって変わりません。本当においておきたいと思えるものは1年に数本あるかないかですから、その程度の違いは気にしません。CD1枚程度の値段です。そう思えば、あまり違わないのです。新しいものが次々と放送される状況下では、アニメ番組は、1話完結のバラエティ番組と何ら変わりがなく、質が低ければ、安くても売れるはずがないということ。こちらの負のサイクルは恐らく破ることができません。
 テレビ放送よりも先にDVD販売をすればどうでしょう。確かに、これならば安くすれば売り上げが伸びる可能性があります。それにしも、問題はあります。それはいずれTVで放送するという前提があること。現在放送しているものを見るだけで精一杯の人間にDVDで先行発売しても、買う人はいるでしょうが、まずTV放送を見てからと判断する人もいるでしょう。この辺りのデータが不足している以上、何ともいえません。ただし、これはやってみるだけの価値は十分あり、データを取ることに意義も十分あります。現状、なぜこの仕組みが採用されないのかはちょっとわかりません。予想してみるならば、やはり一度見てみないものを買う人はいないと考え、まずテレビで放送することが前提となっていることが1つの要因。そして、DVDが先に販売されれば、テレビ放送で視聴率がさらに低下し、新鮮味がかけることとなり、スポンサーがつきにくくなると考えられていることがもう一つの要因となっていると、予想しておきます。

 ・ 結局どうすればいいのか(私の意見)

 ●スポンサーをつけるということは間違えていない。アニメの放送では限られた層しか見ていないことは明らかです。スポンサーも限られている。しかし、これはお金の回り方がはっきりしているともいえます。特定された層に、集中して広告をしっかりと打つことが可能だということで、広告効果は高いといえ、スポンサーはつけるべきなのです。また資金繰りの面から見ても、スポンサーは必要なのです。
 ●じゃあ、そのスポンサーはどこにいるのか。これがまた難しい。確かに広告効果の高い番組ではありますが、元々数があるわけではないとは先ほど述べました。DVDの配給会社が広告を打つという本末転倒な状況ですらあるらしいです。ざっと見た感じでは、おもちゃ、ゲーム、書籍、この辺りの産業しか広がりがない。私程度の能力では新しいスポンサー先を見つけることは無理です。ここをクリアできないと、中々先へはつながりません・・・・本当にわからない。
 ●テレビ局はいらない。深夜放送ではリアルタイムで見ることはまずできませんので、視聴率に反映されることもありません。不確かなデータに振り回されるのもバカですし、他の時間帯と比較されるのも馬鹿らしいです。そして、何より制作に関わっていないテレビ局にお金が落ちるのはおかしいので、テレビ局を早く見限って、ネット上あるいはCSに移行するべきなのです。
 ●月額課金は必要。スポンサーに頼りすぎてはいけません。例えば、現在無料でクーポン雑誌等が配布されています。それは、スポンサーが付いているからです。確かに、これは非常に上手く出来た商業モデルですが、吹けば飛ぶ、安定せず非常に危ういのです。特に、アニメというマイナーな世界では。雑誌をめくってみてください。多くの広告がでています。これだけ広告が出ていても、私たちはお金を払います。それが当然なのです。安定した資金繰り、経営が質の向上を促すのです。
 ●テレビ放送→DVD販売の順序が逆。こうすれば、もう少しDVDは売れるのではないかと思われるが、テレビ放送自体にどれだけのメリットが残されるのか、広告がつくのかという問題は解決されない。さらに、言わば人気のないアニメが淘汰されていくことになる恐れがある。とはいえ、人気のないアニメが淘汰されるのは現状でも目に見えていますが。
 ●DVDには期待するな。今の制作サイドはDVDが売れて漸くまともな利益が出るそうですが、安定して売れる枚数以上は期待すべきではありません。レンタル向けの分(個人向けより高額)もありますから、ある程度は売れていると思われる。京アニクラスになると期待してもいいですが。次々と新しいものを放送する以上、安定した収入はスポンサー、月額課金等で賄うべきです。別メディア展開に関しても、やはり多大な期待は避けるべきです。先行発売したとしても、一定数以上の枚数は期待できないと考えておくべきで、課金システムを採用するならば、やはり放映の後に販売することとなるでしょう。

 ・ まとめ

 結局、どこが動けばいいのか。まずは、テレビよりも先に課金システム内でアニメを先行放送する。これが大事だと思います。そして、徐々にアニメをテレビから課金システムへと移す。当然、動画サイト等の規制は一斉になされるべきです。著作権だからという意味ではなくて、課金システムのサイトへと人を流すためにです。苦しい時代が来るかもしれませんが、このシステムが落ち着けば、規制を緩めても安定しているので、逆に売り上げが伸びてくることになるかもしれません。
 行政がアニメ産業に関して、口を出すということは、まずないと考えるべきです。色々と分析されているようですが、未だ情報を集めている時期でしょう。因果関係が中々つかめないというのもこの産業の特徴といえます。
 課金システムへの移行と同時に、新たなスポンサーを探さなければいけません(ここが難しい、というか不可能なのか・・・・)。ある程度の結果が出ればスポンサーもつきやすくなるでしょうが。ただ、問題は、一番組ごとに課金されるとややこしいことこの上ないですから、ある程度のまとまりが必要です。誰がそれをするのか。それが問題です。ジャスラックではないことだけは確かです。

 ・ 余談

 ●質問ー動画配信サイトが著作権を払えば、それで問題は解決するのか。
 一体何の問題が解決するのかを明確にしなければなりません。解決するのは、表面の権利をうだうだ言っている人間の自己満足感だけです。DVDの売り上げも伸びなければ、広告費も増えない。よほどたくさんの著作権を支払ったところで、先の見えない尻すぼみの状態なのです。
 ●質問ー動画配信サイトに広告をつければどうか?
 現状ではそれでもやはりダメです。広告をつけるということは、結局、著作権料を支払うことと同じです。制作サイドと視聴者の距離が離れることが問題なのです。制作サイドが直接どこかに委託をして、広告を打って、視聴させるという意味(恐らくギャオと同じ)でならば、まだ先は見えますが。それでも、動画配信サイトの広告効果の問題が残っている。現状あるテレビ放送のシステムを残したまま、横から人を抜き取るような形では、人が二つに分裂し、状況が混乱すると考えられ、恐らく難しいと思われます。この混乱を乗り切れたならば、新しいシステムが築かれる可能性は0ではありませんが・・・・・予測不能、あまりにリスクが高い。


 以上、まとめでした。読んでくれた方ありがとうございました。何分勉強不足なもので、間違い、意見、情報がありましたら、よろしくお願いします。


 こちらのサイトがきっかけで、この日記を書くことにしました。制作会社等の詳しいお金の流れが書かれています。大本は、経済産業省ですが。信憑性あるのかな?
http://d.hatena.ne.jp/pmoky/20071028/p1
 サイトに書かれている内容に関しては、賛成しかねます。私はここで述べたように思っています。

 ●以下、本音

 無料で見れているという現状は色々と問題があると思いますが、単純に視聴者側だけの話なら、嬉しいです。無料なんですからwwこれからも無料でどうにかしてほしいとはやはり思います。その方法があればですが。しかし、そううまくいかないのが現状だと思います。現実的に大きな会社が潰れてしまえば、変化があるのかもしれません。どうにかなってからでないとどうにもならないのかなぁとも思います。冷たい言い方になってしまうかもしれませんが、商売ですから、倒れてしまえば、結局それが間違いだったということになるわけで、商売である以上、自身(会社)に無理を強いり過ぎることは、間違いなのではないでしょうか。顧客にああして欲しいと訴えかけ、同情で成り立っていくということは、普通であれば、アホかといわれます。苦しいのですが、こんなことをしてみましたというのであれば、応援したくなりますが。
 弱肉強食の世界で生き残っていかなければならないのです・・・・・・