アニメの苦しさ まとめ(現状説明)ver1.0


 以前に似たような物を書いているのですが、あまりに思いつきで書きなぐったため、うまくまとまっていないと感じました。なので、さらに詳しく、わかりやすく書き直しました。前回と内容がかなり違っていますが、まとめ(改善点)をまたいつか書く予定です。意見が違う場合、こちらを優先します。私もまだまだ不勉強な物ですから。


 まず、どうやってテレビ放送が無料で行われているのかについて簡単に説明しておきましょう。テレビ放送には、広告主というのがいまして、そこがお金を出しています。その資金を元にテレビ局や製作会社は番組を作り、放送の際にCMを入れ、提供として紹介することになります。つまり、宣伝の対価として資金が支払われ、私たちは無料でテレビを見ることができているというわけです。言うまでもなく、NHKは国民から受信料を集めることで番組を作っているので、CM等の宣伝は一切ありません。
 では、アニメ会社についてはどうでしょうか。アニメ放送の提供を見れば、どこが資金を出しているのかがわかります。ざっと見て、DVD、CD、ゲーム、おもちゃ、原作の出版会社、関係がほとんどです。CMを見ればわかると思いますが、DVD販売関係や声優、オープニングのCD関係、ゲーム、おもちゃ、紙媒体関係です。これは少しよくない状況といえます。
 アニメを作ります。そして、そのアニメに関するものを宣伝する。非常に的確な宣伝だと思うかもしれません。しかし、問題はどこまでアニメから派生した商品を買う層がどれだけいるのかということです。アニメ本編をそうした派生商品の宣伝とする状況においては、結局、これに集約されるのではないでしょうか。
 ところで、なぜアニメがこんなにも毎期、毎期放送されるのかわかりますか?おもしろくないと思われるようなアニメまでどんどん作られる。なぜだかわかりますか?正確には私も調べたわけではないので言うことはできませんが、私見を述べさせてもらうと、普通の会社と同じなのです。
 働いている人にはわかるかもしれませんが、要するに、従業員を遊ばせている時間があってはいけないんです。会社は従業員に定額の給料を毎月支払わなければなりません、当然仕事をしていなくてもです。なので、働かせるにこしたことはないのです。そして、もう一つの理由として、負債を抱えてでも、仕事がない状況は避けなければならないということです。なぜなら、仕事がないという状況は、他の会社から見れば、明らかに経営危機の状態であり、倦厭されるものだからです。
 こう考えると、例え、おもしろくない、人気が出るはずがないと会社が考えていたとしても、それでも作らなければならないという状況になるのです。その場合は恐らく、かなりの少ない資金で。
 こうした状況の中で、定給である正社員はどんどん減り、契約社員や外注が増えるという状況へとつながります。しかし、それだけならまだましでしょう。問題は、そうやって作ったアニメが人気が出ない、広告主が資金を回収できないということです。派生商品を売ることで出資した資金を回収するはずが、できないということになれば、当然次回以降、資金が減らされる可能性はあるし、別のところへ依頼という可能性もあります。宣伝は制作、製作とは違い、必ずしもやらなくてはならないというものではありません。効果がないのであれば、理屈ではやる必要はないのです。そうなると、言うまでもなく、給料、外注への支払額も減ります。外注と取っている会社も同様に低額で仕事を請けざるをえません。こうしてどんどんとマイナスへとつながるのです。
 これがアニメでなければ、視聴率だけを問題にしていればいいのです。視聴率の低い番組は広告主から嫌われ、打ち切りになります。そしてまた新しい番組が放送されます。広告主が宣伝したい商品がどれだけ売れるのかと視聴率は直結していないのです。視聴率がいいということが、多くの人に宣伝できたということになり、どれだけ効果を及ぼしたのかという効率の問題は膨大な視聴者という数の前では考える必要のないことなのです。
 しかし、アニメの場合、視聴率が問題ではなくて、どれだけ商品が売れたのかが問題になってくるのです。なぜなら、アニメは派生商品を売るために作られたものという位置づけがあるからです。どれだけ視聴率が良くても、派生商品が売れなければ宣伝の効果、アニメを作った意味がなかったということになります。それでも、会社としては、経営を続けていかなければならず、そうした状況を積み重ねていけば、購買者の絶対値が増えない限り、先は見えていると言いきれます。
 いくつかのケースに簡単に補足説明を加えておきます。
 原作があるアニメの場合。原作ありのアニメの場合、原作をさらに売るという宣伝の意味合いもあります。漫画であれば、漫画をさらに売りたいという意味を込めてアニメ化をする場合もあるでしょう。ライトノベルが原作の場合、同時に漫画化も行うことにより、相乗効果を狙う場合もあります。いずれにせよ、やはりアニメは宣伝という意味合いが強くなります。
 一方、原作が人気がある場合、さらに人気を得ようと言う考えもありますが、今度はDVDも売ろうと考えることになります。固定客がいるからです。こちらは、アニメ化が宣伝でもあり、商品でもあるので、ある程度の質を要求するというのが理屈ですが、単純にものごとはいかないようです。
 原作なしの場合。そこからすべてが始まります。アニメが人気を博せば、漫画化するかもしれませんし、ゲーム化するかもしれません。DVDも売れるかもしれません。おわかりのように、やはりアニメは今後の展開を見越した宣伝なのです。一番わかりやすい例をあげると、ガンダムがあります。アニメが放送される前から、様々なメディアにおいて動きがあります。OP曲、プラモデル、ゲームなどなど。より多くの人にアニメを見てもらうこと、それが宣伝になり、商品の売れ行きへとつながります。と言っても、視聴率はそれほど意味はありません。派生商品の売り上げを把握していればいいですからね。
 
 これが現状ではないかと思います。もちろん、これらとは違い、良い循環が生まれているケースもあります。視聴率がいい→派生商品が売れる→視聴率もあがる→更なる展開を考える→次期以降への好影響→十分な正社員を雇い、安定する→質が上がる・・・・といったことが考えられます。

 と、これらとは多少別に考えなければならないことがあります。それはDVDの売り上げについてです。
 DVDの売り上げを派生商品に含めていましたが、これだけはかなり特殊です。なぜなら宣伝であるアニメ本編をそのまま収録したものであるからです。DVDという商品を売りたいのであれば、本編すべてを流すというのは宣伝は明らかに間違えています。しかし、そうなっている。そうしないと派生商品の宣伝にならないからというのが理由の一つとして考えられます。結局、広告主は派生商品を売りたいのです。原作付の場合は特にそういった意味合いが強いです。DVD販売においても原作付の場合、広告主も権利を持っているはずですが、やはりすべてを放送してしまう・・・・続きはDVDでとしたとき、どれだけ販売数が伸びるのかはわかりかねます。場合によっては、反感を買うかもしれません。
 本編がすべて流される理由として、もう一つ考えられるのが視聴者の絶対数の増加目的です。つまり、アニメを見ない人がいて、その人は最初からアニメのDVDを買うという行為にはまずでません。無料で流れている本編を見て、アニメという業界に足を踏み入れてもらう。それがアニメ業界全体で見ると、人口の増加にあたり、派生商品が売れるはずだという仕組みになっているのではないかと思う。

 以上で現状の説明が簡単にはできたかと思います。