コミック 浅野いにお「虹ヶ原 ホログラフ」 2/5

虹ヶ原 ホログラフ

虹ヶ原 ホログラフ

 う〜ん、点数どおりの内容で、この漫画についてとやかく言おうとは思ってないです。ただっ!ただっ、このジャンルの漫画に言いたいことはあります。かなり偏った見方なので、何言ってんだ、こいつと思っていただいて結構ですので。

 私の言いたいことを一言で言うならば、「あなたの言いたいことは、その形でしか表現できないのか?」ということです。
 私は、もう常々思っていたわけです。この、何ていうか、とんがったような、ひねくれた青春を描いた漫画に対して。またそのトラウマですかと、また微妙な絵画的表現ですかと、また微妙なSF表現ですかと。何ていうかね、もともと狭いジャンルなんですよ。だからね、仕方がないといえば仕方がないんです。このひねくれた青春漫画っていうのは、もうやることは決まっている。だから、このジャンルを漫画で勝負しようとしたら、必ず負けになるんですよ。だからって、そこで諦めたら試合終了なわけですよ。だから、色んな人が頑張るんですけど、やっぱり駄目。ゆえに、いまのところ必ず負けという状況です。
 選べる選択肢が少ないということは、どの場面でも致命的な欠点です。このジャンルは、ほとんど携帯小説と同じ状況だといえます。適当なことを言うかもしれませんが、携帯小説を誰でもかけるのは選ぶ選択肢が少ないからです。そして、どれも同じ内容になる。でも人気がある。
 それでも、このジャンルが廃れないのは、年代交代があるからでしょう。まぁ、これは多くの場合に言えることですが、誰しも青春時代があるわけですよ。誰かが卒業しても、誰かがまた入ってくる。同じ本というならば、受験本は典型的なこの年代交代の恩恵を受けているジャンルでしょう。内容はほぼ変わらないが、買う人は必ず変わる。とまぁ、そういう仕組みがあるわけです。
 う〜ん、だからまぁ、読み手の感性が変化しないかぎり、もうずっとこういう感じのノリで続いていくんでしょう。良いとか悪いとか、それ以前に、どれをとっても同じはずで、これだからいいとかあれだから悪いとか、そういうのはないはずだけど、比べるなら本当に狭い範囲の中でやらないといけない話で、他のジャンルと比べるものではないんでしょうね。
 だから、いいたいことがあるなら、もっと別な形で表現しないと駄目なんじゃないんですかと思うわけです。少なくとも、同じと思われたら駄目なジャンルなんじゃないのかなと思いますよ。