文学とライトノベルとギャルゲー その13


 久しぶりに書いてみようという気になったww今回の話題は、「異世界や異能の人間の生活を日常として描くとなぜ争いがメインになりがちなのか」について考えたいと思う。

 異世界や異能の人間の生活を日常として描いているというのは、私が考えるライトノベルを文学的にしようという発想の大前提である。文学とは、「日常の出来事をどれだけ変わった表現で表せるか」と、まぁそんなことをかつて言ったわけですがそんな昔のことは私も含めてあまり覚えていませんwwとりあえず、そうだと言う前提で、話を進めていきます。となると、ライトノベルとは、主にファンタジー世界のことであるわけで、それ自体すでに非日常なわけだが、しかし、本の中の登場人物たちからすれば、彼らの生活はあくまで日常であるという視点からすれば、ライトノベルを文学的にすることとは、ファンタジー世界の何気ない日常を描くこと、という結論になる。
 しかし、結局多くの場合、内容が争いごとへと移っていってしまう。それが残念でならない。と言うわけで、今回のテーマである。

 これはよくよく考えれば、仕方のないことなのかもしれない。なぜなら彼ら作家がこの場合表現したいのは、非日常を日常として生活する人間を見せることにより、本を読んでいる人間と本の中の人間との対比させることである。
 もう少しわかりやすく説明します。まず大きく分けてライトノベルには2つの傾向がある。1つは、異世界と現実の世界とのギャップを描くもの、もう一つは、異世界などの日常を描くもの。例を挙げると、前者は現代における霊能力関係や異能力に巻き込まれる話、後者は、別の世界に属する人々の日常や戦などを描いたものなどである。これは以前に述べたかも。
 まず前者だが、ライトノベルにおけるギャップは本の中で現実世界を生きる主人公が異常な出来事に遭って、非日常に巻き込まれるというものだ。ここで対比されているのは、いずれも本の中の人物であった。そして、あくまで日常は主人公が生きる現代の世界であるはずだ。
 後者においても、前者のような対比が使われているのだ。それはどういった手法によるかといえば、本の中の人物と本を読んでいる私達の対比だ。異世界等を格好よく見せれば見せるほど、私達はギャップを感じおもしろく感じる。例えば、魔法使いの話や異能力者が活躍する現代社会の裏側の世界の話。魔法を使う彼らの世界の話を私たちは本の中での対比を必要とすることなく、楽しんでいる。
 現実世界の裏側で異能の人間たちが争いを続けているという日常。これを私たちは格好よく感じてしまう。もっと単純に言えば、テレビを見ている中高生くらいの子が、芸能界にあこがれるようなものに近いのかもしれない。だからこそ、このような手法を用いる作品が多く存在していることも頷けるだろうし、仕方のないことなのかもしれないと思うのだ。
 しかし、ギャップを用いる手法ではライトノベルは決して文学的な何かへとはなりえないことは明らかである。以前に述べたが、異世界の日常が当たり前のものとして描かれていることが前提になっていなければならない。そういった意味では、争いごとばかりが日常というのも、それだけでは文学でないと否定することはできないかもしれないが。とはいえ、私たちの日常は、競争こそあれど暴力的な何かに支配されていることは珍しいのであり、いくら「どんな世界観であろうとも、それらの日常を日常としてうまく表現できれば文学的だ」という基準にのっとったとしても、やはりそこにはギャップが生まれ、今の世の中では文学として受け入れるには至らないだろう。その辺の話で、以前、私たちがどれだけファンタジー世界をすんなりと受け入れることができているかということにも触れた気がする。
 現在の多くのライトノベルは、この読んでいる人間と中の人間のギャップを狙ったものが多い。物語をおもしろくさせるのは、起伏のあるストーリだからである。争いがあって日常あるからこそ、おもしろいと感じるということを否定できない。私も同じだ。
 結局、ライトノベルはギャップを狙ったストーリー重視の話から脱却していかないことには、更なる文学的な発展は望めないだろう。飽和しつつある様々な設定をさも非日常のように描かれることにいつまで私たちは馴れないで付き合っていけるのだろうか。もうそろそろ、争いごとの話を止めてみてはどうだろう。確かに、ありえない設定を現実に存在するものとして日常を描くことは、争いごとを描くよりも何倍も難しいことだと思う。極端な話、「キノの旅」の1話限りの出オチのような世界を延々と書かされるようなものだww拷問に思えるかもしれないが、その分野にこそ生き残れる未来があるのではないかと思う。

次回はいつになるかわかりませんが、自己満足でまたいつか書くことになるでしょうww最後まで読んでくれた方、ありがとうございます。