中村文則「最後の命」 3/5

最後の命

最後の命

 土の中の子供を大絶賛した私ですが、これは微妙な感じがしました。やはり、うなるような箇所はいくつもあるのですが、全体的に俗物的な匂いがしたのです。一貫して、作者が非常によく言いたいことはわかるのですが、そのための話のもって行き方というか、最初の設定というか、その辺の調節というのが、本当に紙一重だと思いました。
 内容は、主人公と幼馴染が過去に体験した事件からどのようなことを感じ、生きてきたのか、また今を生きていこうとするのかを淡々と語ったもの。
 もう少し別のものも読んでみたいとは、やはり思いました。